大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」に用いるサファイア鏡の公開と実験施設への運搬
3月8日、富山大学において、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」に用いるサファイア鏡をマスコミ向けに公開しました。
サファイア鏡は、東京大学宇宙線研究所が中心となり、国立天文台、高エネルギー加速器研究機構、富山大学らと協力して建設を進めている大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」の目標感度の達成のための重要な鍵を握る部品です。直径22cm、厚さ15cm、重さ23kgの単結晶の無色透明のサファイアでできており、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」のL字型に直交する2つのうでの先端と根元の計4カ所に設置する予定です。
「KAGRA」の最終感度到達のために必要とされる4台のサファイア鏡の最初の鏡が「KAGRA」に装着される段階に達したことを受け、大学院理工学研究部(理学)山元一広准教授、東京大学宇宙線研究所三代木伸二准教授らが、サファイア鏡や「KAGRA」研究の今後について説明を行いました。この後、サファイア鏡が公開されました。
富山大学は、2013年に「KAGRA」共同機関となり、岐阜県飛騨市にある「KAGRA」から一番近い国立大学として、主にレーザー関連の研究開発に貢献しています。2017年の春から、富山大学のクリーンルームを利用し、「KAGRA」内での鏡の装着に必要な最終工程である、サファイアの鏡に同じくサファイアでできた「耳」と呼ばれる部品の取り付けや、取り付けた耳の強度試験などを行っています。
3月9日、公開されたサファイア鏡が富山大学から「KAGRA」実験施設に運搬されました。運搬したサファイア鏡を一方(X方向)の腕の先端に取り付け、すでにY方向の先端に取り付けられている予備の鏡と共に冷却し、今春に初めての鏡を冷却した運転を行います。
2018年中に残り3台のサファイア鏡に富山大学で耳を取り付けます。その後、両方のうでの先端と根元に設置して調整、改良を進めたうえで、最終的な構成での運転を2019年中に開始、LIGO、Virgoとの共同観測を目指します。