自閉症スペクトラム児?者の適応的な社会生活を送るきょうだいの様相とその適応への要因 ‐青年期におけるきょうだいに対するインタビューの検討から‐
掲載内容は当時のものです。
この研究は、日本小児保健協会の学術学会雑誌「小児保健研究」に掲載されました。
成田泉?水内豊和(2016)自閉症スペクトラム児?者の適応的な社会生活を送る きょうだいの様相とその適応への要因?青年期におけるきょうだいに対するイン タビューの検討から?.日本小児保健協会編 小児保健研究,75(5),629-635.
この研究では、同胞が自閉症スペクトラム障害児?者であり、現在、適応的な社会生活を送っているきょうだいに着目し、そのようなきょうだいの様相と適応に影響している要因とについて明らかにするために、成人きょうだい3名に対するインタビュー調査を行いました。
その結果、きょうだいは、同胞に関する悩みに対して、自分に合った形のソーシャルサポートを認識し活用しており、またその活用に対して満足していることが明らかになりました。また、活用するソーシャルサポートの形は、きょうだいによってさまざまであり、きょうだい自身の性格やきょうだい?家族を取り巻く環境によって異なるということが本研究を通して示されました。これらの知見は、障害児のきょうだい、そして家族の生涯発達を支える心理職などの支援者にとって重要な示唆を与えるものです。
公認心理師である水内は、きょうだいの他にも、母親、父親、祖父母などの家族成員に焦点を当て、インタビューや質問紙を通して、適応的な社会生活においてプラスに働いている要因を明らかにすることを通して、よりよい家族支援のあり方を研究しています。
メッセージ
この研究は、水内研究室で学部?大学院を通して障害児の家族支援を研究した成田泉さんが主となって行いました。この論文により、大学院在学中に、「卓越した学生」表彰を受けています。大学院修了後は、児童精神科勤務ののち、現在は富山市教育委員会の心理士として発達障害児の保護者の心理支援を仕事にしています。
このように学生たちは臨床発達支援に関わる教育?研究を経て、卒業後、特別支援学校の教員、保育士、心理職として活躍しています。障害のある子どもだけでなくその家族も支える体験的な学びや研究をしたいという高校生にぜひ研究室に来てほしいです。
- 共同研究者名/成田泉
- 所属/富山市教育委員会 公認心理師
- 専門/特別支援教育、臨床発達心理学
- 学歴/富山大学人間発達科学部?富山大学大学院人間発達科学研究科(いずれも 水内研究室)