富山大学 薬学部 学部案内2024
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2222のフィールドを選択するにせよ、自己研鑽が必要です。自分を高めていけるよう努力をしてほしいと思います。その積み重ねが、結果として、社会のため、ヒトのために貢献できることに繫がると、私は信じて仕事をしています。 私が働く池田模範堂は立山の麓、上市町と言うところにあります。社名をご存知の方は少ないと思いますが、主力商品の虫刺され用かゆみ止めは商品名を聞けばご存知の方も多いと思います。 このかゆみ止めは昔からある薬ですが、今も研究開発を続け製品の改良や新製品の開発に取り組んでいます。このような研究開発には薬学部で学ぶ幅広い知識がとても役に立ちます。また、研究開発に必要な最新の科学技術を得るため富山大学と共同で研究を行うこともあります。 製薬に携わる人間にとって富山と言う「薬」に力を入れる県にいることは大きなメリットだと思っています。 私自身は県外の出身で本学入学の際に富山に来ましたが、富山の住みやすさからすっかり居着いてしまいました。これから薬について学ぶ方々にとって、「薬都とやま」は良い選択肢となるのではないでしょうか。 私は現在、微生物発酵由来の医薬品(原薬)を製造する新棟建設プロジェクトに製造部門の代表として業務しています。このプロジェクトは大きく分けて①施設及び設備の設計、②導入された設備の適格性評価、③実生産規模での試験製造、④実生産前の製造プロセスの適格性評価というステップがあります。私は最初の施設及び設備の設計から携わり、現在は導入された設備の適格性評価を実施しながら、実生産規模での試験製造の条件を検討しているところです。 設計や設備の適格性の評価は、建設業者やエンジニアリング部門だけで取り組んでいるわけではありません。医薬品の品質、労働者の安全性、製造の効率性を高めるために、我々製造部門の提案やチェックは必須です。的確に提案するためには、製造現場での意見を集約するだけでなく、製造know-how、設備、医薬品の品質保証に関する最新情報を正確に理解する必要があります。特に微生物はわずかな条件の違いでも結果に大きく影響することもあるため、製造know-howと同等な条件を実生産設備で再現できるかを細部まで確認します。これらのことは非常に労力が要りますが、自分の思いやこだわりが設計に反映され、その適格性を確認できたときは非常にやりがいを感じます。プロジェクトは現在も進行中ですが、この新棟での医薬品をいち早く患者さんのもとに安定的に届けるために、日々業務に取り組んでいます。 大学及び大学院時代に所属していた研究室では、微生物や動物は一切扱わず(ましてや医薬品工場の設備など無縁でした)、標的のタンパク質を特異的に蛍光化するといった、現在の業務とはかけ離れた研究をしていましたが、目的を達成するためのプロセスは大きく変わりません。学生時代に研究を通して学んだことで、そのプロセスを構築する能力は鍛え上げられました。今後も富山大学で培った経験を存分に活用し、様々な領域の知識?技術を高めて、世界の人々の健康に貢献したいと思います。 私は現在、製薬企業で研究職として働いています。私の会社では医療用医薬品のみならずヘルスケア全体を通じたサービス?価値を社会へ提供するべく、日々研究に取り組んでいます。その中でも私は製剤研究所に所属し、錠剤や注射剤といった患者さんの手元に届く最終製品を造り出す研塩野義製薬株式会社 丸山 蒼平(H27卒業?H29修士)究を行っており、最近ではバイオ医薬の製剤処方及び製造プロセス設計に従事しています。生物から生成されるバイオ医薬はその有効成分の不均一性や物理的性質による複雑さから、従来の低分子医薬とは異なる品質設計のアプローチが必要となります。有効成分の重要品質特性を理解した設計がバイオ医薬の有効性?安全性において重要となるため、その品質や安定性について多面的な特性解析を実施しています。また、製品開発を進める上では、海外の会社との協業も必要不可欠であり、研究力のみならずグローバル力の重要性を感じながら業務に取り組んでいます。 学部時代には「薬学の基礎」を、大学院時代には「高い専門性及び研究者としての資質」を学んできました。富山大学で培ったものは企業研究者となった今でも存分に活かされています。皆さんも富山大学で「薬のエキスパート」を目指してみませんか。 私は大学卒業後、全国に展開するクオール薬局に就職しました。アメリカでは薬剤師は地域の健康アドバイザーとして尊敬される職業です。私は初め病院薬剤師と薬局薬剤師、どちらがしたいか悩んでおりましたがアメリカの薬剤師のように人々の健康を身近で支える仕事がしたいと思い、より患者様に近い薬局薬剤師を志望しました。現状、薬局にいらっしゃる患者様のほとんどは処方せんをお持ちです。しかし、かかりつけ薬剤師制度やセルフメディケーションの推進により、処方せんを持たずに健康相談にいらっしゃる方が徐々に増えてきています。これからの薬剤師は患者様からお話を伺い、プロフェッショナルとして適格な情報を提供する「対人業務」を行うことが求められています。全く同じ薬を飲んでいても患者様が変われば話す内容も変わってきます。薬剤師は薬だけでない広範な知識と高いコミュニケーション能力を必要とする、難しいですがやりがいのある仕事だと考えます。 薬学部の講義で教鞭をふるう教授の方々は最先端の薬学研究者だけでなく、中には臨床経験のある薬剤師もいます。学生のうちに専門性の高い講義や、臨床で生かせる講義を受けることができたのは、現場に出てから大きなメリットになりました。 近年、多くの病院や薬局で漢方薬が用いられており、漢方薬の市場は年々増加しています。がん化学療法などの先端医療の分野でも用いられる漢方薬ですが、富山大学では漢方薬の研究機関を併設しており、漢方薬について専門的な講義を聞くことができます。 このように富山大学では薬剤師に求められる高度な教育を受けることのできる環境が整っています。本学でしっかり勉学に励んだ皆さんと、薬剤師として一緒に働ける日を楽しみにしております。厚生連高岡病院 薬剤師 八幡 静香(H28卒業) 内服薬?注射薬の調剤や抗がん薬の無菌調製といったセントラル業務に加え、腫瘍内科と血液内科病棟を担当しています。病棟では抗がん薬治療を行う患者さんが多く、治療に対する不安を少しでも減らし前向きに取り組んでもらえるよう、薬学的な介入を行っています。例えば、医師に吐き気止めを提案する際、薬剤師は患者さんの既往歴、併用薬、検査値などを考慮した上で、エビデンスに基づいた最適な薬剤を選択する必要があります。これらの知識は日々の学習、業務の積み重ねで身につくものであり、提案した治療が奏功し、患者さんの笑顔が見られた時は非常にうれしい気持ちになります。残念ながら治療がうまくいかなかった場合でも、次に生かせるよう振り返りを行うようにしています。 「平凡なことを非凡に努める」これは私が卒業するときに研究室の教授から頂いたメッセージです。どんなに小さなことでも努力し続けることで、やがて自分の強みになるという意味です。薬剤師となってからもこの言葉を胸に学びを重ね、現在は専門資格の取得に向けて頑張っています。 富山大学薬学部には教育?研究に熱心な先生方や先輩方が数多くおり、きっと皆さんを多方面からサポートしてくれると思います。大学生活で多くのことを吸収した皆さんと薬剤師として働ける日を楽しみにしています。クオール株式会社 加藤 充(H29卒業)患者様の最も身近な薬剤師を目指して患者さんのために学び続ける薬剤師に製薬と富山株式会社池田模範堂 信頼性保証部 信頼性推進グループ山野井 遊(H17卒業?H19修士)製薬企業の製造職として働くアステラス製薬株式会社 BioPharma Manufacturing 山本章人(H24卒業?H26修士)製薬企業の研究職として働く

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