富山大学 医学部 学部案内2024
30/36

28 私は滋賀県の高校を卒業した後,1996年に富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科に入学しました。身内もおらず当初は杉谷キャンパス周辺に住むのは不安でした。しかし杉谷キャンパスでは同級生が近くに住んでいることが多く,また部活動も盛んで多くの先輩後輩ができ,安心して学生生活を送ることができました。この縦(先輩後輩)と横(同級生)の関係は試験勉強の助言だけにとどまらず,卒業後の今でも大きな財産となっています。 私は卒業後,内科(消化器科と漢方)医として12年間勤務しました。内科と内視鏡(胃や大腸カメラ)の専門医も取り終えて一人前になったと感じましたが,一つ学び残したことがありました。それは統計でした。統計ができないために学会ではいつも症例報告の発表をしていました。症例報告とは稀な一症例の治療経過を報告するのですが,所見や治療を普遍的なものとして発表するには,多くの症例を集めて統計を使った報告が必要です。そんな時,旧知の先輩や同級生が病院での仕事に加え,大学院に入学して医学博士を取るための研究までしていました。みんな「大変だよ~」と言いながら,実験手技を身に付け,統計を学んで英語の博士論文を仕上げていくのです。皆さんにはまだ想像ができないと思いますが,卒業後に医師の仕事を6~10年程度して,再び学生(大学院生)として学び直すことは大変な気合が必要なのです。しかし先輩や同級生がますます成長していく姿に魅了され,私も大学院で頑張ろうと決意できました。今振り返ってもあの時に統計学を学んで,人生の幅を広げておいてよかったと思います。富山大学の勤勉な風土,周囲の人達に恵まれたと感謝しています。 現在の私は,社会医学で統計を駆使する「疫学」研究をしています。具体的には富山県でどの程度の児童がネット依存なのか(有病率),またネット依存にかかりやすい子はどんな生活,家庭環境なのか(リスク因子)などの分析です。私はこの関係から小中学校で児童の前で話す機会が多いのですが,ほとんどの子が静かに話を聞くことができます。富山は県自体が非常に勤勉だなと実感します。 是非皆さんも富山大学に入学して,県と富山大学がもつ勤勉な風土を感じてみてください。人生を通して良い影響があります。もちろん部活など勉強以外にもたくさん学べることもあります。皆さんと一緒に過ごせることを楽しみにしています。富山大学医学部疫学?健康政策学講座准教授山田 正明(2002年 卒業)「医学部案内」を通じて皆さんとお会いできうれしいです。私は富山県立高岡高校を卒業し,富山大学医学部で学びました。卒業後は内科や救急の研鑽を積み,現在はリウマチ専門医として診療にあたる一方,ERで救急診療にも従事しています。先輩方からの教えを後輩たちに返せるようにと富山大学大学院に入学し医療者教育学の勉強を始めました。中学時代に剣道を始めて,大学でも稽古を続けました。大学入試で剣道経験者の先生が面接してくださり,緊張しながら剣道トークをした思い出があります。なぜそこまで緊張したかというと,私の受験は背水の陣だったからです。私が受けた頃の後期試験の倍率はオバケのようでした。幸い,試験科目との相性がよかったこともあり富山大学に入学することが出来ました。大学生活では部活の先輩方がとてもよく面倒を見てくださり,試験対策から生活上の買い物などの支援も手厚いうえ,遊びにもよく誘っていただきました。大会の後,OB?OGの先生方と熱のこもった剣道談義ができることも楽しかったです。学生時代には,熱心な友人と医療に関する勉強会も企画しました。地域の病院にでかけて行き,医療ニーズや将来の課題を探るワークショップを通じて医療者の先輩方と交流する「地域医療を考える合宿」という企画を2年ほど行いました。当時交流した病院の先生方には私自身の初期研修を含め現在の診療でも,大変お世話になっております。学士編入(大学を出てから医学部に編入する)の友人,国境なき医師団を目指していた友人とフランス語の勉強会や英語の症例集を読み解く勉強会などもやりました。個性豊かで,様々なバックグラウンドの学友がいました。大学病院でともに診療に従事している人もいれば,海外で研究者として活躍している人もいます。私も最近はオンラインで世界中の研究者や医療者と勉強しています。グローバルな目線で,ローカルに働ける医療者を目指し日々自己研鑽に努めています。富山のおいしい幸をいただき,人間関係に恵まれながら大学を卒業し,医療者として社会に関わりながら人生経験を積んでいくと,私は人とのつながりのなかで成長していることを実感します。富山大学での出会い,富山県での診療を通じて,みなさんも一緒に学んでいかれることを楽しみにしています。富山大学附属病院第一内科(リウマチ?膠原病)ER兼任診療助手木戸 敏喜(2013年 卒業)富山の勤勉な風土が育ててくれます富山でいっしょに学びましょう医学科先輩からのメッセージ

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る