芸術学専攻は沖縄県の特色ある文化と歴史を尊重し、日本にのみとどまらず国際的な教養を備え、芸術のさまざまな領域で活躍できる人材の育成を目指します。
この目的のため、本専攻では以下の人材を求めます。
芸術学専攻では、芸術に関する論文を書くことの出来る学問的な力を備えた学生の育成を主要な目的としています。研究の対象となる分野は、沖縄の文化芸術のみならず美学?芸術学?日本美術史?東洋美術史?西洋美術史と幅広く設定され、学生の個性に応じて、自分に相応しい学問領域を選択できるようになっています。
また、芸術大学の学生にふさわしい実技と理論の調和を目指すことも大切な目的のひとつです。語学の選択範囲も広く、英語?ドイツ語?フランス語?イタリア語?中国語?ラテン語?漢文などの他に、日本語の歴史的文書を読むための授業科目を受講できます。
第1年次においては実技と理論の学習が半々になるようにカリキュラムが構成されていますが、第2年次以降では、理論と歴史や語学などの学習が中心となります。第2年次における「学外研究」で多くの芸術作品に触れ、芸術と社会とのかかわりを考える機会を得ることによって、自分の目指す分野が明確になっていきます。第3年次で専門分野の研究を深め、第4年次の「卒業論文」において、学生はそれまで大学で学んだ知識と陶冶された感性を有効に用いてひとつの研究課題の下に論文を執筆することになります。
さらに、就学中に博物館学課程や教職課程の科目を受講することで、学芸員資格や教員免許状を取得することができるように配慮されています。
私は入学当初からイタリア美術史に興味が有り、卒業論文もルカ?シニョレッリをテーマに執筆しました。芸術学は実作ではなく研究をするところですが、これが一筋縄では行きません。
学部では卒論一筋だった私ですが、その甲斐あって、ご指導頂いた先生から大学院進学を勧められました。幸い松尾金蔵奨学生に選んでいただき、いい環境で研究することができました。卒論に没頭する中で一度は断念した博物館学課程も無事履修を終えることができました。
私の院生1年目の年には、60年ぶりというシニョレッリの大回顧展がイタリアで開かれたのですが、上述の奨学金のおかげもあってイタリアに行くことができ、多くの実作品に触れ、修士論文のテーマも新たに見つけることができました。これをもとに、2年目には学会で発表を行うこともできました。振り返ってみると、研究は1人ではできないことを実感しています。多くの方々との関わり会いの中で、出来上がった論文とは一生の財産に思えます。この財産を糧に、私はこれからも研究を続けていきたいと思っています。
本学には海外の姉妹校に留学するチャンスも豊富に用意されています。是非皆さんも芸術学専攻で学んでみてはいかがでしょうか。
大学とは何をする所でしょうか。それはまず第一に研究をする所です。高校までは教師の話したことや教科書に書かれていることを覚えるだけで事足りました。それは学習と言います。
しかし大学からは学習ではなく研究をしなければなりません。
研究とは、ある特定の物事について詳しく調べ、深く考えて、事実や真理などを明らかにすることです。
芸術学は古今東西の芸術について研究します。芸術の歴史は長く、世界は広く、ジャンルも多岐にわたります。その中から研究対象を決めるのは簡単ではありません。有効な方法の一つは自分自身の経験から探ることです。そのためには自ら多くの芸術を見て、聴いて、触れて、感じる必要があります。それらの実体験で得た感動や疑問から研究対象を絞り込んでいくと良いでしょう。
大学の専攻で将来が決まるわけではありません。4年間だけでも自分の好きなことに没頭するのは人生にとって無駄ではないと思います。この芸術学専攻ではそれが可能です。